AIで儲かる会社の裏側で、損をしている業界はどこですか?

こんにちは、KABU-ACAの神谷です。
市況分析というと、伸びる業界を探す作業だと思われがちです。ただ、それと同じくらい大事なのが、不利な業界を外すことです。攻めの選別と守りの選別、この2つは両輪だと私は考えています。
ある部品が急騰したというニュースが出ると、その部品を作る会社に注目が集まります。ただ、値上がりした分のコストは、必ずどこかの誰かが負担しています。そこを追いかけていくと、避けたほうがいい業界が見えてきます。
なぜ、上がっている業界だけを見ていてはいけないのですか?
部品や素材の価格が上がるとき、市場では作り手の話ばかりが取り上げられます。ですが、その部品を買って製品を組み立てる会社にとって、値上がりはそのまま原価の増加です。
たとえば2026年前半には、AIサーバー向けの需要が集中したことで、汎用DRAM価格が前期比+90〜100%、NANDフラッシュも+70〜75%という記録的な上昇を見せました。メーカー各社が、利幅の大きいAIサーバー向けに生産ラインを振り向けたためです。
このときパソコンの製造原価に占めるメモリの比率は、それまでの15%程度から35%近くまで上がりました。同じ製品を作っているだけなのに、原価の構造そのものが変わってしまったわけです。
部品の値上がりは、どこまで連鎖していきますか?
原価が上がった会社に残された道は2つしかありません。価格に転嫁するか、自社で吸収するかです。
価格に転嫁すれば、製品は売れにくくなります。実際、2026年5月には発売から間もない家庭用ゲーム機が値上げを発表しました。低価格帯のパソコンやスマートフォンでは、作れば作るほど利益が薄くなる状態に近づきます。
そして製品が売れなくなると、今度はそれを売る側が苦しくなります。家電量販、通信会社の端末販売、さらにその製品に使われる液晶パネルやバッテリー、カメラセンサーといった部品メーカーへと、影響は下流に向かって広がっていきます。
上流で起きた1つの値上がりが、2段階も3段階も離れた業界の業績に効いてくる。この連鎖を想像できるかどうかが、分かれ目になります。
不利になりやすい業界には、どんな共通点がありますか?
私が危ないと感じるのは、次の条件が重なっている業界です。
・製品の価格を自分で決めにくい
・薄利多売で、1台あたりの利益が小さい
・原価に占める外部調達の比率が高い
・買い手が値上げに敏感な一般消費者
この4つが揃うと、コスト上昇の逃げ場がありません。しかも部品の高騰だけでなく、燃料高、為替、人件費、金利といった別のコスト要因も、同じ時期に重なってのしかかります。
こうした構造にある業界は、個別企業に踏み込む前に、業界ごと候補から外してしまうほうが早いです。押し付けられる側に立っていると、経営が優れた会社でも波に飲まれます。決算の数字は良いのに株価が動かない会社があるのは、業績が良いのに株価が上がらない理由と同じで、その会社だけを見ていても答えが出ないからです。
ご自身が持っている銘柄がこの領域に偏っていないかは、一度確認しておく価値があります。
業界を外したあと、何を見て企業を選びますか?
外す作業が終わったら、残った業界の中から企業を選びます。ここで初めて決算書の出番です。私がどの数字から順に見ているかは、決算書を読む順番をまとめた記事で手順として整理しています。
見るのは、営業利益率と粗利率が数年でどう動いているか、設備投資が売上や利益に結びついているか、会社自身の業績見通しに勢いがあるか。同じ業界の中でも、どの事業が利益を稼いでいるかで企業の体質は変わります。値上がりした部品を売る側に立っている事業を持っているなら、同じ業界にいても景色はまったく違います。
株式投資は、目立つニュースの裏側で起きているお金の移動と、コストの押し付け合いを読み解く作業だと思っています。誰かが大きく儲けているとき、そのお金はどこかから移動してきています。移動元に立っている会社を避けるだけでも、負ける確率はかなり下がります。
コスト上昇と業界選別について、よくある質問は何ですか?
値上げできる会社と、できない会社の違いは何ですか?
代わりが効かない製品を持っているかどうかです。他社に置き換えられない技術、強いブランド、規制で守られた立場があれば、価格を上げても客が離れにくくなります。逆に、性能で差がつきにくい製品ほど、値上げはそのまま客離れにつながります。
部品が値上がりすると、川下の企業は必ず苦しくなりますか?
必ずではありません。値上げを受け入れてもらえる製品を持っていれば、原価の上昇を販売価格に乗せられます。また、部品を安いうちに在庫として積んでいた会社は、影響が出るのが遅れます。決算説明資料で、価格転嫁がどこまで進んでいるか、在庫がどうなっているかを確認してみてください。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資手法を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の見解であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。





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